JC24 桐山製作所 [ 実験用ガラス ] × フォルマファンタズマ

R&D 田渕智也

“Kiriyama”

実験精神がもたらした機能美の転換

化学、バイオ、医薬、食品、香料、機械、ITなど、あらゆる分野で日々行われている研究開発に使用される理化学用ガラス器具を製造する桐山製作所。カタログには手描きの器具の図が無数にあり、工場内の製品テストを兼ねた実験室には常に何かしらの実験の痕跡があって、研究開発の現場への責任と熱誠に満ちている。ホウケイ酸ガラスを使用する器具は、耐久性や精密さを兼ね備えることは不可欠条件で、さらに、実験の手法や内容、目的に応じた形状と機能が求められる。そこで培われるのが、切る、曲げる、繋ぐといったガラス細工の技術。この技術を日常使いのプロダクトにも展開できるはずと、フォルマファンタズマとのものづくりが始まった。自らの製品やデザインがもたらす現象への興味を原動力にする両者の実験精神が合わさってできあがったグラスのシリーズは、要素はシンプルだけれどおかしさがあり、小さいけれど思わず触れたくなる個性を醸し出す。

桐山製作所の工場は6階建で各階でそれぞれの工程を担う。

プロセス1

ガラスは約1000度の熱で成型される。

プロセス2

工場の片隅に置かれた職人が技術の訓練用につくるという花のオブジェ。これにフォルマファンタズマは目を留めた。

プロセス3

創業者の桐山弥太郎氏がデモンストレーションを見せてくれる。同社の礎でもある桐山氏が戦前から培ったガラス細工の精細な技術は今も健在。

プロセス4

ガラス加工用の旋盤や軟化したガラスを成型する型
類も桐山製作所内で製造している。

プロセス5

工場にある桐山製作所の製品などを見てアイデアを話し合うアンドレア・トルマルキ(右)とシモーネ・ファレジン。

プロセス6

試作に対するフォルマファンタズマの修正依頼を早速職人が試す。

プロセス7

桐山製作所Kiriyama Glass Works

理化学用ガラス器具の製造会社として1948年に東京・東日暮里で創業。特注製品にも積極的で、臨機応変な技術力とひたむきさにより、研究開発の現場のみならず幅広い信頼を得ている。

フォルマファンタズマ Formafantasma

イタリア人の Andrea Trimarchi と Simone Farresin がアムステルダムを拠点に設立。素材の探究、文化や伝統に重きを置いた発想、必ずしも機能を最優先にしない実験的な姿勢によるデザインが注目されている。

桐山製作所
桐山製作所
フォルマファンタズマ
フォルマファンタズマ