JC20 鳩居堂 [お香] × ガムフラテージ
“KYU" "HATO”
香りの歴史を世界に伝える繊細で詩的な新発想
世界において香の歴史は古く、日本には古代インドから中国を経て仏教と共に伝わった。のちに、宗教儀礼だけでなく、禅の精神のもとで香りを鑑賞して楽しむ香道も発展した。香道では香りを「聞く」と表現し、香りと共に自然を感じ、心身を清める日本独自の香文化として継承されている。
伽羅、沈香、白檀、丁字、桂皮など天然の原料を使った香り、さまざまな種類の香、香道のための空間などを体験したガムフラテージに鳩居堂が求めたのは、香を楽しむ習慣を世界に浸透させられるようなプロダクト。
ガムフラテージの提案は、彫刻的なモジュール、人の行為を誘うモチーフ、香が形づくるフォルムという3つのアプローチで、新しい香体験がある生活風景を想像させるものだった。繊細さや詩的さ、遊び心など香道にも通ずる要素もみえて、伝統ある鳩居堂に現代的な価値をもたらすプロダクトが生まれた。
鳩居堂の工房を見学するガムフラテージのスティーネ・ガム(右)、エンリコ・フラテージ(中央)、R&Dの田渕智也氏。明るい気分で仕事ができるようにと、工房の機械は全て明るい色に塗られている。
製作工程のスタート地点には、お香の原料が入ったタンクが並ぶ。
タンクに入っているのは粉状の天然の香原料。それぞれに滋味のある香りがする。
出来上がったお香は丁寧にまとめられる。
本店の奥にある香道のための香室も見学。
ガムフラテージからの提案資料には、古い日本の図版の中に新しいプロダクトがさりげなく溶け込んだイメージが。
事前に送られていた提案をもとに鳩居堂が試作したサンプルを手に喜ぶふたり。
鳩型のお香を固定させるスタンドの仕組みを思案したのはR&Dの田渕氏。
鳩居堂Kyukyodo
1663年、京都寺町で薬種商として創業。1700年代に、薬種の原料と共通する薫香線香の製造をはじめ、同時に中国から書画用具を輸入して販売するようになり、現在に至る。明治時代より宮中御用の名香の秘方を継承している。
ガムフラテージGamFratesi
2006年にデンマーク人のスティーネ・ガムとイタリア人のエンリコ・フラテージにより設立され、コペンハーゲンを拠点とするデザインスタジオ。絶妙なバランスで伝統の尊重と現代的な表現を融合させる。