JC14 竹虎・山岸竹材店 [竹] ×ステファン・ディーツ
“SOBA”
竹本来の「生」の魅力を引き出す
日本人に非常に親しみの深い素材「竹」。竹は縄文時代の遺跡からも出土しているという記録がある。人々は古来より、軽く、加工がしやすい竹で、農具や猟具、漁具としてかごやざるのような道具を作っており、日本人の暮らしに欠かせないものであった。近年では、その美しさと堅牢さから、海外のクリエイターからも注目を集めている素材である。
高知県は、森林が県土のおよそ84%を占めるほど山地の多い地勢で、林業および木工業が盛んな場所。その中で、竹材は伝統的技術の継承に注力するだけでなく、現在および未来の地域資源として捉え、工業製品の部材に登用するなど新しい試みが活発に行われている。竹虎は明治27年創業の竹専門メーカーであり、職人たちの研ぎ澄まされた技は、海外からも取材陣が訪れ、その美しさから「ミラクルバンブー」という愛称が付けられたほどだ。
タッグを組むデザイナーはステファン・ディーツ。ヨーロッパで活躍し、数々のインテリアメーカーからプロダクトを発表しているが、彼のデザインの特徴はなんといってもユニークな構造だ。
ディーツは高知県に赴き、『竹虎』とその周りにある竹林を訪れリサーチを重ねた。そこで得たのは、表皮に近いほど繊維の密度が高くて弾力性に優れていることや、折れにくい性質を持っていること、楢材よりも比重が高く硬いこと等の竹本来が持っている特性に改めて注目。竹だけが持っている生の特性を活かした、ダイナミックな家具を提案した。
竹虎 ・山岸竹材店Taketora
1894年 (明治27年)に事業を始め、『竹虎』というブランド名のもと、竹材・竹製品製造卸業として活動している竹材専業メーカー。現在は四代目を中心にその 「虎斑竹」と120年以上育んできた技術力を守り継承しつつ、竹文化の創造と発信で豊かな 「竹のある暮らし」を提案する、という経営理念を掲げて、日本の竹製品全般の魅力を伝える活動を積極的に行っている。
ステファン・ディーツStefan Diez
2003年に独立。それ以来、家具や食器をはじめ多彩な分野にて数々のプロダクツをデザインしている。「オーセンティックス」「ブリー」「エスタブリッシュ・アンド・サンズ」「モローゾ」「トーネット」「ウィルクハーン」等幅広い企業のデザインを手がける。IFデザイン賞金賞、レッド・ドット賞ベスト・オブ・ザ・ベスト賞などを受賞している。
R&D 熊野 亘Wataru Kumano
1980年生まれ。2001-08年にフィンランドへ留学、ヘルシンキ芸術大学(現アールト大学)大学院を卒業後帰国、Jasper Morrison Studio Tokyoでアシスタントデザイナーを務める傍ら、2011年に”KUMA”を設立し、インテリア、家具、プロダクトのデザインやプロジェクトマネージメントを手掛けている。