JC11 YAMAHA [ TLFスピーカー] × MAP partner of Barber & Osgerby
立つ場所で聴こえ方が変わる新しい音響インスタレーション
「新しい音響体験を提供する」
ヤマハデザイン研究所とバーバー・オズガビー率いるMAPが手がけた作品は、この音響インスタレーションである。
ヤマハは先だって1.5ミリ厚の薄型スピーカー「TLFスピーカー」を開発。薄型で軽量、指向性が狭く、音の遠達性に優れているという特性がある。指向性が狭いということは、音が広範囲に広がらないので、スピーカー同士を隣に置いても音が混ざりにくく、正面に立つと明瞭に音が聴こえてくる。また、遠達性が高いということは、距離音が減衰しにくく遠くまで音を届けられる。
JCは、この最先端の技術に対し、常にユーモア溢れる精神でものづくりに取り組む、バーバー・オズガビー率いるMAPをマッチングした。
MAPのメンバーは、来日するやいなやヤマハデザイン研究所に出向き、TLFスピーカーを見て、触って、折り曲げてみたり、被ってみたりしながらアイデアを練った。
結果、彼らが提案したのは、このスピーカーに出会った第一印象の驚きを活かした、音響インスタレーションであった。
スピーカーを5枚用い、黒いワイヤーフレームに設置。各スピーカーからは、それぞれソプラノ、メゾソプラノ、アルト、テノール、バスの5つの歌声が別々で流れてくる音響システムを組んだ。スピーカーの前を歩くと、徐々に声が切り替わる、そして真ん中に立つと混声合唱が聴こえてくる不思議な音響体験ができるインスタレーションが完成した。
厚さ1.5mmの薄型スピーカーに触れてみる。
実際の音を体感。
リサーチからMAPは「収束・収斂」、「圏・域・範囲」、「動く彫刻」の3つのコンセプトを立てた。
触って、折り曲げて、かぶってみたりしながらアイデアを練る。
光を透かしてみると、その薄さが良くわかる。
電気を伝える部品の検討。
マニュファクチュア、デザイナー、R&Dの協働でプロジェクトは進められる。
ヤマハ株式会社YAMAHA
1887年創業。現在は楽器を中心に音響機器、電子部品、自動車内装部品など幅広い分野で世界中に事業展開している。1963年に社内にデザイン部門を設立。以来50年にわたり楽器やAV機器のデザインで培った独自の観点や手法、考察などを通して優れたデザインを創出。国内外のデザイン賞を多数受賞。国際的なデザイン展へも積極的に出展している。
MAP partner of Barber & Osgerby
2012年にバーバー&オズガビーによって設立。戦略的デザインマネジメントを担うクリエイティブ・コンサルタンシーで、現在はバーバー&オズガビーとユニバーサル・デザイン・スタジを共に活動している。多彩な分野にて入念なリサーチに基づく魅力的なデザインを提案すると共に、企画・開発・プロトタイプ制作など多岐にわたって手掛けている。
R&D 倉本 仁Jin Kuramoto
デザイナー、1976年、兵庫県生まれ。金沢美術工芸大学を卒業後、家電メーカーに入社。インハウス・デザイナーとして務めたのち、2008年、JIN KURAMOTO STUDIOを設立。現在は、日本と中国に拠点を持ち、家電製品や家具、ホームファニシングなど多様なプロダクトのデザイン、品開発を手掛けている。iF Design賞など受賞多数。