JC03 パイオニア [有機EL] × ポール・コクセッジ
発想の力で、ハイテクを身近で親しみのあるプロダクトに
近年、蛍光灯に取って代わる存在として勢力を増しているLED。そのLEDを追うように積極的な開発が続けられているのが「有機EL照明」だ。
有機EL照明の特長は、LEDでは不可能な面発光が可能であり、形にも制約がないこと。こうしたポイントからその将来性に大きな期待が寄せられる、注目の最新型の照明と言われている。
パイオニアは早くからこの分野での開発を進めており、97年には世界初の有機ELディスプレイの量産化にも成功。特に、多彩な色が表現できるマルチカラー有機EL照明パネルは、同社がもっとも得意とする分野である。ジャパンクリエイティブは、ハイテクノロジーが結集した有機EL照明を、単なる光源としてではなく、一つのプロダクトとして未来のデザインの文脈のなかで表現が可能かどうかにチャレンジした。
「有機ELパネルを隠したい」
最先端技術の粋を集めたこの製品と向き合ったポール・コクセッジが放ったこの言葉に、一堂は驚くと共に大きな期待を寄せた。意識が「ハイテクノロジー」に集まるがあまり、照明そのものの魅力を忘れてしまっているのではないか。明かりの元に人が集まる状況や、やさしい光を見て心がほっと和む。照明をデザインする上では、そんな人の気持ちをまずは考えるべきだということこそ、コクセッジの真意だった。
デザインをはじめた彼が出した提案は、パネルの前に紙を一枚垂らすという至ってシンプルなもの。1時間毎に吹き出す風が紙を煽り、それとともに照明の色が変化する。いわば、有機EL版の鳩時計に仕上げたことで、ハイテクノロジーが機能性をそのままに、一気に親しみやすい存在へと変容させた。
ショールームで様々な照明を体験。
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有機ELによる155インチのディスプレイ。
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1枚のパネルで表現されるマルチカラーに魅了される。
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紙をかざしてみる。
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「有機ELを隠す」というアイデアの具現化へ。
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時計の針の形状を検討。
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試行錯誤が続く。
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パイオニアPioneer
創業者、松本望が1937年に国内初となるHi-Fiダイナミックスピーカー「A-8」の開発に成功。翌38年福音商会電機製作所として創業する。61年パイオニア株式会社に商号を変更。75年に世界初のコンポーネントカーステレオを、さらに90年に世界初となるGPSカーナビゲーションシステムを開発するなど、常に時代の最先端をリードし続けている。
ポール・コクセッジPaul Cocksedge
1978年生まれ。ロイヤル・カレッジ・オブ・アート(RCA)在学中に、三宅一生氏のギャラリーで個展を開くなど、学生の頃から注目されていた。詩的な視座と高度な技術力でデザインされたプロダクトは、多くの人々に強い印象を残し 、人は彼のプロダクトに接する度に、デザインが持つ大きな力を感じることができる。近年はスワロフスキーなどのブランドでインスタレーションも手掛けている。
R&D 倉本 仁Jin Kuramoto
デザイナー、1976年、兵庫県生まれ。金沢美術工芸大学を卒業後、家電メーカーに入社。インハウス・デザイナーとして務めたのち、2008年、JIN KURAMOTO STUDIOを設立。現在は、日本と中国に拠点を持ち、家電製品や家具、ホームファニシングなど多様なプロダクトのデザイン、品開発を手掛けている。iF Design賞など受賞多数。
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